ごあいさつ

 鎌倉投信は、「結い 2101(ゆい にいいちぜろいち)」という公募の投資信託(次なる22世紀につながる価値を多くの人と共に創造することを目指す投資信託)を運用する投信委託会社です。鎌倉にある築80年の日本家屋を再生し、2010年3月から「結い 2101」の運用を開始しています。


 日本では、大多数の運用会社が東京に集中する中で、なぜ鎌倉、しかも日本家屋を本社屋にするのかとよく問われます。
 一言でいうと、ここ鎌倉は、“自らの立ち位置”をはっきりと示せる場所だと思ったからです。鎌倉投信は、お金や金融というものを豊かな社会を育む水脈のようなものだと考えています。そして、長期的な視野で“人と人”“世代と世代”を繋ぐ調和ある社会の発展に資するものだと考えています。
 鎌倉は、自然に恵まれ伝統文化が継承されている「場」です。一方で、鎌倉幕府を創ったり、日本で始めてナショナルトラストを生み出したりするような、革新的な気質のある「場」でもあります。
 築80年の日本家屋は、匠の技が至る処に施され、それと同時に自然や景観との調和がとれた、とても落ち着きのある空間です。
 この「場」には、古くから受け継がれてきた普遍的な価値を大切にしつつ、新しい革新的な価値を創造する力があるように思ったのです。

鎌倉投信は、たとえ規模は小さくても、そうしたものとは異なるお金の循環をつくることを目指しています。鎌倉投信の設立時、創業者4名で時には合宿を行いながら、半年かけて自分たちが志す金融像を徹底して議論し、たどり着いた結論が、

一、 「無期限の投資信託」を通じて長期的な視野に立った資産形成と社会の持続的な発展に貢献する

一、 不特定多数の方が少額から参加できる「公募型」を通じて何万人という多くの人に関心を持って頂く

一、 顔の見える「(銀行や証券会社を介さない)直接販売」を通じて、鎌倉投信、お客様、投資先の会社の三者が信頼で結ばれる関係性をつくるです。


 「いい会社をふやしましょう!」これが鎌倉投信の合い言葉です。いい会社が増えれば、社会に様々な価値が創造され、雇用が生まれ、その会社に関わる多くの人の幸福感も拡がります。
 「いい会社」とは、規模の大小でもなければ、上場非上場も関係ありません。「これからの日本にほんとうに必要とされる会社か否か」です。株主や経営者など特定の人が多くの利益を得る会社ではなく、社員とその家族、取引先、地域社会、お客様、自然・環境、株主等の利益の調和の上に発展し、持続的で豊かな社会を醸成できる会社です。規模から質へ、拡大志向から循環志向へ、物から心へ、競争から共創へと向かう社会の構造変化に順応できる会社です。


 2010年3月に運用を開始して以来、まだまだ知名度も実績もこれからという状況の中で、既に多くの方に「結い2101」をご購入頂いています。大変ありがたいことです。
 一般には短期的な利益や分配金の多さに目を向ける投資家が多く、鎌倉投信のお客様のように本当に長期投資を志向する投資家は少数派です。しかし、こうした長期的視野を持つ投資家の中には、利他、調和の心を持ち、目に見えない価値を感じることができる方々がとても多いように思います。投資というものを、「儲けてなんぼ、勝ち負けの世界」とは一線を画し、自己の利益性と社会の利益性の調和を当然のように大切にされているのです。


 こうした方々は、「結い 2101」を通じて投資している「いい会社」が日本で頑張っていることに触れることによって、明らかにご自身の意識、もっといえば生き方も変わってきているように感じます。良い投資、良いお金の使い方は、人をも成長させることを実感しています。


 例えば、鎌倉投信は、今すぐに利益を生まなくても5-10年後の収益化を目指して林業再生に取り組む「いい会社」に投資をしています。第一次産業の再生なくして日本の将来はないからです。林業というと収益化が非常に難しい事業ですので、実際に投資家の皆様に現場を見て頂こうと一緒に視察に行きました。
 そして、その会社が取り組む森林再生事業を自らの目で見た投資家は、その将来性を確信すると同時に、林業再生や環境保全等に寄与する、間伐材を利用した国産割り箸の普及にも自ら貢献できることを考え、行動し始めました。
 また、障碍者雇用や地域の活性化に貢献しながら高い収益性を確保しているプラスチックトレイ製造の「いい会社」を紹介したところ、その会社が行っているプラスチックトレイのリサイクルに普段の生活の中で貢献しようとする人もいました。
 小さくても世界に誇る技術を持つオンリーワン企業、人財をどこよりも活かす能力に秀でた会社等、日本人が失いつつある誇りを取り戻すような会社、そうした“「いい会社」のために何か貢献したいという人を挙げればきりがありません。


 ごく一部ですが経営者の意識も変わってきました。未だに株主価値の最大化、短期的な利益や株価を重点目標に置く経営者が大多数ですが、こんな小さな鎌倉投信に投資してもらえるような会社になりたいという会社も出始めています。
 また、「結い 2101」に投資する真面目な投資家を見て、「ゆめゆめおろそかな経営は出来ない」と襟を正して下さった「いい会社」の社長さんの言葉には感動しました。株主は、経営に対して自己の権利を主張する前に、持続的な事業の発展をサポートする健全な支援者であるべきです。その強い信頼関係こそが、経営者に真っ当な経営を促す動機付けになると思うのです。
 ある「いい会社」の社長さんは、投資をした際に次のようなメッセージをくださいました。
 “今回は、当社株式を公募の投資信託「結い 2101」にお組み入れ頂き、誠に有難うございました。 皆様のご期待にお応えする為に、私どもが「これからの日本にほんとうに必要とされる会社」になることをお約束したいと存じます。” 
 大変ありがたいことだと感じ、全てのお客様に感謝と共にこのメッセージを伝えました。


 鎌倉投信は、「投資の果実」をこう定義しています。
 投資の果実 =「資産形成」×「社会形成」×「こころの形成」
 この三要素のいずれが欠けても投資における真の成功はありません。こうしたお金の使い方や金融のあり方に多くの人が目を向ければ、社会の底流に自覚と責任、信頼が生まれ、社会は豊かになります。人は、生き方において、仕事の仕方において、お金の使い方において、社会をより良くすることができます。たとえ一人一人の力は小さくても、真心を持った何万人の投資家が集う投資信託が出来れば、その波及効果は大きいと思います。政府や大手資本が大きなお金を動かして何かをするのではなく、小さくても真心と良識のあるお金、意志ある人たちが主体的に参加する金融像が社会をより良くすると実感しています。


 本来あるべき金融のレバレッジとは、金融工学による技術的な手法をいうのではなく、信頼と信頼の連鎖から生み出される価値の創造だと考えます。
 このようなことを考えながら鎌倉投信は、一日一生の思いで、投資信託の仕事に取り組んでいます。これからも受益者の皆様、投資先の“いい会社”と共により良い“投資信託”を創っていけることを楽しみにしています。


代表取締役社長 鎌田恭幸